本当にいいの?ランキングで選ぶ学校選び
毎年ハワイ州教育局により発表される公立学校の評価を元に、幾つかの民間団体がその年の学校ランキングを発表します。これは子供を公立学校に行かせる親にとって学校の実績を知る一つの目安になります。学校ごとのテストスコアが毎年注目を集めています。
ランキングってどうやって決まるの?
4年生以上になると学年末にSmarter Balanced Assessments (SBA)という、州統一テストを受けます(2014年まではHSA/ Hawai‘i State Assessment)。reading, math, scienceの3教科、それぞれ2時間以上かかるコンピューターベースのテストを1日1科目づつ受けます。個人に結果が届くのは、数ヶ月後の次の学年の新学期が始まってから。ランキングには4年生と、8年生、11年生のテストスコアが使われます。ランキングを発表する民間団体により審査基準はまちまちですが、主にテストスコア、生徒と先生の比率、生徒の出席率、卒業率、ユニークさ、伸び率などを考慮して独自にランキングが決まります。各団体のランキングごとに審査方法が異なるためもちろん結果も違ってきます。

上位校は人気が高い
毎年のランキングの順位は入れ替わりますが、上位にくる常連校も存在します。それらの学校は、日本人ママにはもちろん、ロコのママ、アジアからの親子留学のママにも大変人気があります。多くの教育熱心な親御さんは、ランキング上位校、ハイスコアをだす学校に子供を進学させたいという傾向があります。しかしここで気をつけなければいけないことは、子供の個性と学校のマッチングです。特に、英語力が十分ではない子供の場合、特に慎重に学校を選ぶ必要があります。
ハイテストスコアには訳がある
テストスコアのよい学校に入れたからといって、自分の子供に必ず良い影響が出るとは限りません。ハイスコアをメイクする学校は、宿題がとても多かったり、授業中に机で学習する時間が長い、といった傾向があります。中には学校で学習していない範囲を宿題にし親から学ぶよう指示される学校があります。親が第二外国語の場合、家でのフォローが難しく、塾に通わせたり、家庭教師をつけている子供も多いようです。
学習スピードの遅い子供には、もう一年同じ学年を履修してはどうかと、先生から声がかかったりもするようです。学校によっては、キンダーを1年間終了した後にシニアキンダーといって、1年生に上がらず2度目のキンダーの生徒を集めるクラスを設けていたりします。日本でいう留年ですが、子供の将来にとってベターなチョイスとしてそれを受け入れるかは、親次第です。アメリカでは割とポジティブに捉えられ、遅生まれの子供を一年遅らせる家庭は少なくありません。もう一年同じ学年を履修すると、成績があがり子供が自信を持って学習に取り組むようになり、リーダーシップを発揮する人になりやすいという傾向があるからです。
こういった傾向から、クラスメートの年の差が1年以上というのは、よくあります。
同時に、Gifted Programといって優秀な子には、実学年よりも上の勉強に進ませるプログラムを実施している学校があります。その学校のテストスコアはそういった子供達によって引き上げられているとも言われています。ポリシーを持ってそういったプログラムを実施していない学校もあるので、学校ごとのスコア結果に差が出てくるのは当然です。こういった背景から、学校全体の成績を上げるべく学校構造を意識している学校は、スコアは必然的に高くなります。成績を上げて人気校になると、より多くの生徒が集まります。人気校には比較的教育熱心な家庭が集まり、学校運営にも良い影響が出たり、生徒数が増えることで政府から下りる予算も変わってくるため、学校は生徒集めに大変積極的です。
テストスコアにフォーカスしない学校
なかには、スコアはあまり良くない(決してひどく悪いわけではない)けれど、充実したカリキュラムで物事を体系的に学び、自然や、ハワイ文化教育を大切にした学習方針で人気を集めている学校もあります。プロジェクトを中心とした学習を取り入れ、クラスサイズが小さい傾向があり、あえてGifted Programは取り入れられていない傾向があります。こういったタイプの公立校は、白人の割合が比較的多いというデータも出ています。テストスコアを気にするのであれば他の学校に行った方が良いと、校長先生自ら親御さんへアドバイスすることもあるようです。目の前のスコアには反映されないかもしれないが、体系的に学ぶことで学ぶ意欲を育て、結果として成功する人格形成を目的としているようです。
補習クラス
スコアをあげようと頑張っている学校は、一部の生徒を対象に無料のサマースクールを実施し、補習授業を行い学習能力向上に努めます。また、特別なケアが必要な子供や、子供の家庭環境により家庭での学習に限りがある場合、学期中特別に先生がマンツーマンでケアをしてくれる時間をとってくれるようです。補習クラスが、どこまで学校全体のテストスコアや、ランキングつなげられるかはわかりませんが、それぞれの公立学校がユニークなプログラムを提供し、より良い学校にしようと努力しています。
子供のための学校選び
多くの親が学校のスコアランキングを意識する一方で、テストスコアを基準にした学校選びを疑問視する親も存在します。それが自分の子供にあっているのか、英語が不十分な子供がついていけるのか、宿題に追われる小学生生活で良いのか、初等教育はもっと違うものなのではないか、と考える家庭はあまりスコアにとらわれずのびのびと学校生活が送れる学校を選ぶ傾向があります。自分の学区の学校を訪問してみると案外、ランキングでは見られない本当の良いところや、気になるところが見えたりもします。宿題が簡単すぎて子供の学力向上に心配になる、逆に宿題が難しすぎて子供が勉強についていけないなどのというのも問題ですが、なにより子供が”学校が楽しい!”といえる”子供のための学校選び”、をしたいものです。
