プレゼンテーション能力を育む教育

アメリカの学校では幼い頃からプレゼンテーションの機会が多く与えられます。プレゼン教育は、プリスクールや、キンダーガーデンから始まります。プレゼンと意識させず、おしゃべりをさせる感覚からスタートします。

キンダーガーテンから始まるプレゼン教育
〜 大好きなものをシェアする 〜

小学校の1年目にあたるキンダーガーテンには、5歳の子供たちが通います。日本でいうと幼稚園の年中さんにあたります。この年齢でアメリカのプレゼン教育は始まるのです。お家から自分の好きなおもちゃや、写真などを持って来させ、それを選んだ理由、なぜ好きなのか、どうやって手に入れたのか、などをクラスメートの前ではなします。その後先生やクラスメイトからの質問に答えるスタイルです。Show&Tellと言われる、低学年で一番初めのプレゼン授業です。リサーチを必要とせず、カジュアルに、そしてみんなが楽しめるというとても良い学習方法です。自分の大好きなことを話すのですから、子供達は生き生きと話します。”発表”ということをあまり意識させず人前で話す練習が始まります。

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学年に合わせたプレゼンプロジェクトで、自然に身につける
〜ある人気公立小学校の例〜

1st grade

それぞれが違うテーマで海の生物についてしらべ、その模型を作り、プレゼンします。親や他のクラスの生徒を招待するのですが、ただいきなり大人数の前でのプレゼンでははなく、生徒一人一人がブースを作り、そこに訪ねてきたゲストに個々にプレゼンをします。相手が一人、二人だとあまり緊張もなく、しかも何度も話すうち、知識は定着し堂々と自信を持って話すようになります。

2nd grade

プレゼンプログラムは、動物園への遠足から始まります。まず動物園のスタッフが遠足の数日前に学校を訪れ、動物についてのレクチャーを行い、子供達の動物への関心を高めます。遠足までの数日間は毎日動物を題材にして授業が進みます。そこで、待ちに待っていた動物園への遠足の日がやってきます。子供達は頭の中いっぱいの動物に関する知識を、目の前の本物の動物とリンクさせます。こうすることで知識の定着率がよくなり、また、物事と物事をリンクさせる能力が身についてきます。ここまでは、まだプレゼンの準備です。遠足が終わると自分の調べたいトピック(動物)を選び、リサーチを始めます。その後、テーマとする動物とその生息環境を模型化し、クラスみんなの前で発表をします。

他には、サンクスギビング前には、サンクスギビングの歴史的背景を調べます。発表の日は、その時代の人々になりきり、クラスルームにてサンクスギビングランチをしながら調べたことをプレゼンする会をもちます。保護者は子供たちのサンクスギビングのためのご馳走を手分けをして準備するのです。その後は、サンクスギビングに関連したゲームなどを取り入れ、サンクスギビング一色の楽しい1日となります。

3rd grade

バイオグラフィプロジェクト。有名な歴史的人物に仮装し、その人物になりきって自伝をプレゼンします。何週間も前からテーマとする人物の本を読み、学習し、自分がその人物になりきって話せるようスクリプトを作成します。本を読みただ感想文を書くだけでなく、クラスメートの前では、自分がその人物に関してのエキスパートになり、質問に答えなければいけませんから、準備に余念がありません。どんどん知識をつけエキスパートになっていく子供達のテンションも上がります。当日は、ハロウィンの仮装大会のようにとても盛り上がります。もちろん親も参観できます。

4th grade

 サイエンスプロジェクトが行われます。各自でトピックを決め、それに関するリサーチを行い、実験、それをまとめ発表する、というのが全体の流れ。切ったりんごはどうすると酸化しにくいか、どのアイスが凍り易いか、太鼓の上の砂は音によりどんな模様を描くか、といったいかにも日本の理科の授業でも問いあげられそうなものから、あくびは人にうつるのか、といったどうやったらちゃんと実験データが取れるのかわからないような面白いトピックまで様々です。実験結果を、プレゼンボードにまとめ、発表当日は自分のブースで、訪れた人にレクチャーし、質問に答えます。その日は、入れ替わり立ち替わり学校中の先生や生徒、保護者が4年生の教室を訪れるのです。何十回と説明するわけですから、だんだんと喋り慣れ、プレゼンが上手になっていきます。

5th grade

高学年になると、グループプロジェクトへと移行していきます。グループ内で意見をまとめなくてはならないため、議論に強くなります。自然とプレゼン能力が発揮できるプロジェクトに移行していきます。

卒業年のいくつかのプロジェクトの一つはマーケットデイとよばれるものです。仲間でビジネスプランを立て、製作したものを売ります。仲間で意見をまとめるとき、商品を売り込む時、色々な場面でプレゼン力を発揮します。材料費の計算、仕事の割り振り、締め切り日までの製作、お店の場所の確保、前もって広告を貼り宣伝をする、といったビジネスに必要なことを体系的に学び、いままでの小学校生活の中で育まれたプレゼン力も必要とされます。ちなみに、売り上げは、非営利団体に寄付されます。これも、子供達により選ばれ、なぜこの団体に寄付すべきなのかをそれぞれがプレゼンし、投票によって決まります。

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ほぼすべての発表会は親が招待されますから、親は子供の成長、学校での様子がわかります。学校によりプロジェクトの取り入れ方は大きく違います。プロジェクトの多い学校は、大学に入るためのスコア作りがゴールというよりは、社会に出た時にコミュニティに貢献できる、世界に還元できる人材を育てるといったゴールを掲げています。

褒める教育

ハワイの先生は、とにかくよく褒めます。どんな質問をしても”Good question.”と言っては、本当によく褒め、子供達のユニークなところを見つけてくれます。おかしな意見を述べても質問をしても、めったに怒られませんから、子供達は素直に意見を述べるようになるようです。先生がいろんな意見を受け入れますから、子供たちも先生の姿勢をみて成長していきます。アメリカ人の考え方の多様性、そしてそれを受け入れる姿勢は、こういった教育現場がベースになっているのではないでしょうか。学校の校風、教育方針や、先生により実際の現場がすべてこのようではなかったりしますが、プレゼンテーションや、自分の意見を述べることはアメリカ学校教育に早い段階から取り入れられています。

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